教 育

量子物理学から新しい工学へ工学部量子物理工学科、大学院工学府量子物理工学専攻での学び

工学部量子物理工学科では量子力学や相対性理論とともに力学、電磁気学、熱力学、統計力学などの現代物理学を構成する基礎的学問を系統的に学びます。その上で応用物理学、量子ビーム、加速器工学、物質材料科学、原子核物理、原子力工学などについても学び、量子物理学の基礎とその工学応用へのセンスを身につけます。これにより、大きく変わりゆく時代に柔軟に対応し、新しい時代の科学と工学を自ら切り拓いていく力強い技術者や研究者を育成します。

量子物理学から新しい工学へ

大学院工学府量子物理工学専攻では、工学部量子物理工学科の学部課程と併せた6年一貫型のカリキュラムを構成しており、学部課程で学んだ基礎科目から発展させた先端専門科目を学びます。専攻での教育・研究は大きく次の4つの分野に分かれます。一部の専門科目は学部課程で履修することが可能です。

大学院工学府量子物理工学専攻

教育・研究の4つの柱

原子核物理・量子線工学量子ビームの生成から利用まで

加速器によりつくられる陽子ビームやイオンビーム、エックス線などの量子ビーム、原子核の崩壊などで発生するガンマ線、中性子線などの量子線が持つ膨大なエネルギーは、原子核・素粒子物理学などの基礎科学研究、放射線がん治療などの医療への応用、新しい機能を持った材料の開発といった様々な領域で広く利用されています。本学科・専攻では、新しい「FFAG 加速器」の開発研究、加速器で生成された原子核の相互作用の実験研究と理論研究、超伝導現象を利用した新しい量子線測定技術の開発研究、物質中での量子線の制御の活用など、量子ビームの生成から利用まで、幅広い研究を行っています。

原子核物理・量子線工学

原子力エネルギー・核融合工学未来のイノベーティブな核エネルギーシステムを創造する

安全性と信頼性に優れた未来の原子炉・核融合炉等の魅力的な核エネルギーシステムの開発、核エネルギーの利用に際して生じる諸課題とその解決策等についての教育と研究を行っています。核エネルギー現象に関わる理論数値シミュレーションと基礎実験、核反応を伴う大型実験等を通して、核エネルギーシステムに介在する基本的な物理現象の解明、また、工学システムとしての技術開発の視点から、先進的な研究に取り組んでいます。原子炉物理学、核融合炉・プラズマ理工学、熱流動工学、原子力安全工学等を基盤とし、将来の核エネルギーシステムに対する多様な社会的要請に柔軟に対応できる基礎カ・応用力を身に着け、当該分野の将来を担う人材の育成に尽力しています。

原子力エネルギー・核融合工学

機能性材料・量子線物性学原子スケールから1万年先の物質挙動まで

物質・材料は人類が利用している全てのシステムの成否と機能を支配していると言っても過言ではありません。本学科・専攻では、ガンマ線や電子・中性子などの量子線が存在する環境での機能性物質の振る舞い、量子線を用いた物質材料の原子・分子構造や状態の解析と、種々の物理・化学的性質の評価に関する教育と研究を行っています。その対象は、核反応物質や放射性物質などの原子炉や核融合炉で使われる材料、現代あるいは未来社会の情報通信に欠かせない磁性材料、スピン・エレクトロニクス材料、環境浄化を可能にする触媒材料、量子線を利用した新たな物質創製など量子物理現象が深く関わる多岐の物質に亘ります。さらに、このような量子機能材料の原子・分子構造や電子状態などを解明するための解析手法や新たな装置の開発にも取り組んでいます。

機能性材料・量子線物性学

応用物性物理学基礎物性から未来のデバイスを考える

本学科・専攻では理学・工学を横断する応用物理学的な視点を持って、基礎物理原理の探求から応用技術開発にわたる幅広い教育・研究を行っています。現在世界が直面する課題として環境問題や資源枯渇問題があります。こ れらの問題を解決するには様々な視点からの研究が必要であり、物理的観点からアプローチすることにより、それら問題を解決するための研究を行っています。具体的には、新奇な量子多体現象(強相関電子系・量子スピン系・フラストレーション系など)の探索やグラフェンのような二次元系材料のナノ電子物性に関する実験研究、ナノ構造制御した機能性有機分子の光・電子機能、生物フォトンや希少元素吸着ゲル、非平衡開放系である液晶対流の研究開発など、 非常に多岐にわたる研究です。

応用物性物理学